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豆知識
法人税の申告書のなかで、いちばん最初に手が止まるのが別表四です。損益計算書の当期純利益を出発点に、税法のルールで足したり引いたりして、法人税の対象になる所得金額を出す明細書です。このページでは、一人社長の会社を想定した架空の数字で、別表四を上から下まで一度たどります。
情報提供であり、税務助言ではありません。 一般的な制度の解説です。個別の判断は税理士にご相談ください。
最終確認: 2026年9月18日 / 出典: 国税庁 法人税等各種別表関係(令和7年4月1日以後終了事業年度等分)、タックスアンサー No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期、No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算、No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除。行番号は マネーフォワード クラウドの解説(2026年時点の様式)を参照しました。
損益計算書の当期純利益は、会計のルールで計算した利益です。法人税は、これをそのまま使いません。
この調整を一枚にまとめたものが別表四で、正式名称は「所得の金額の計算に関する明細書」です。国税庁は通常様式のほかに**別表四(簡易様式)**を用意しており、特殊な調整項目のない会社は簡易様式で足ります。一人社長の会社の多くは簡易様式の範囲に収まります。
| 行 | 内容 | 一人社長でよくある中身 |
|---|---|---|
| 1 | 当期利益又は当期欠損の額 | 損益計算書の当期純利益(法人税等を引いた後の額) |
| 加算 | 損金経理をした法人税・地方法人税・住民税、納税充当金、減価償却の償却超過額、役員給与の損金不算入額、交際費等の損金不算入額 など | 決算で見積計上した法人税等(納税充当金)がほぼ毎年入る |
| 減算 | 減価償却超過額の当期認容額、納税充当金から支出した事業税等の金額、受取配当等の益金不算入額 など | 前期分の事業税を今期に払っていれば、その額が入る |
| 23 | 仮計 | 1 + 加算 - 減算 |
| 26 | 仮計(純支払利子等の調整後) | 一人会社ではたいてい 23 と同じ |
| 27〜 | 寄附金の損金不算入額、法人税額から控除される所得税額 など | 預金利息から引かれた源泉所得税があれば、ここで一度加算して別表六(一)で控除 |
| 39 | 差引計 | |
| 40 | 欠損金又は災害損失金等の当期控除額 | 前期以前の赤字(繰越欠損金)を使うならここ |
| 45 | 総計 | |
| 52 | 所得金額又は欠損金額 | これに税率をかけたものが法人税(別表一へ) |
各行には総額・留保・社外流出の3つの列があります。「留保」は会計と税法のズレが将来解消されるもの(例: 納税充当金、減価償却超過額)、「社外流出」は解消されないもの(例: 交際費の損金不算入額、配当)です。留保の列は別表五(一)「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」につながり、税金の納付状況は別表五(二)「租税公課の納付状況等に関する明細書」と対応します。
以下は架空のサンプルです。実在の会社・数値ではありません。
前提(3月決算、資本金 300万円、青色申告)
別表四
| 行 | 総額 | 留保 | 社外流出 |
|---|---|---|---|
| 1 当期利益の額 | 2,220,000 | 2,220,000 | — |
| 加算 損金経理をした納税充当金 | 350,000 | 350,000 | |
| 加算 交際費等の損金不算入額 | 0 | 0 | |
| 加算 役員給与の損金不算入額 | 0 | 0 | |
| 加算 減価償却の償却超過額 | 0 | 0 | |
| 減算 納税充当金から支出した事業税等の金額 | 60,000 | 60,000 | |
| 23 仮計 | 2,510,000 | 2,510,000 | 0 |
| 27 寄附金の損金不算入額 | 0 | 0 | |
| 39 差引計 | 2,510,000 | ||
| 40 欠損金等の当期控除額 | 0 | ||
| 52 所得金額 | 2,510,000 |
読み方のポイント:
もし繰越欠損金があったら
前期以前に青色申告で 800,000 円の欠損金が出ていれば、40 行目で控除できます。資本金1億円以下の中小法人等は所得金額の 100% まで控除でき、繰越期間は 10 年です(No.5762)。
| 行 | 総額 |
|---|---|
| 39 差引計 | 2,510,000 |
| 40 欠損金等の当期控除額 | 800,000 |
| 52 所得金額 | 1,710,000 |
一人社長は、取り込んだ仕訳帳と決算書から別表四・別表一・別表五(一)などの別表を組み上げ、e-Tax 用の送信ファイル(XTX)を出力します。流れは 確定申告ウィザード にまとめています。数字の最終確認と申告の判断は税理士にお願いしてください。試すだけなら、登録なしの 公開ツール からどうぞ。
はい。当期欠損の額から始めて、加算・減算を経て「所得金額又は欠損金額」を出します。青色申告なら、ここで出た欠損金額を翌期以降に繰り越せます(繰越期間は10年)。
簡易様式は、通常様式から特殊な調整項目の行を省いたものです。国税庁が毎年両方を公表しており、特殊な調整のない中小企業は簡易様式で作成できます。迷ったら通常様式で書いても間違いではありません。
法人税・地方法人税・住民税は損金になりません。決算で費用として見積計上した分(納税充当金)を別表四で加算して、会計の利益から税法の所得に戻します。翌期に実際の納付額との差が出たら、翌期の別表四で調整します。
取り込んだ仕訳帳と決算書から別表四・別表一・別表五(一)などを組み上げ、e-Tax 用の XTX を出力します。数字の最終確認と申告の判断は税理士にご相談ください。
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